和室の畳を剥がして無垢床に張り替えてみた 6時間で完成する杉30mm厚フローリングDIY
今回はDIYで和室の畳を剥がし無垢フローリングに貼り替える方法をご紹介します。
材木屋勤務のハダが自社の無垢フローリングを使い、父と2人で和室6畳間を6時間でDIYしています。
利用頻度の少ない和室を無垢フローリングに貼り替えたい
現代の生活では利用頻度の少なくなった和室。
和室の畳を剥がし無垢フローリングを貼りたい!と思いながらもリフォーム会社にお願いすると価格が高そう…と諦めてしまっている人も少なくありません。
改装して今よりもっと和室を活かしたいと思う一方で、疑問や不安が目の前で立ちはだかってしまい、いっこうに重い腰が上がりません。ハダ自身もその1人でした。
ハダは元建築事務所のプレハブを改修した2階建ての住宅に住んでいます。
家には和室が2部屋あります。
1部屋はかろうじて寝室として使っているものの、もう1つの6畳間はまったく活用できていません。
引っ越しを終えて1ヶ月と経たないうちに、洗濯物干し用の部屋と化してしまいました。
とにかくもったいない。
畳を剥がし無垢フローリングを貼り、仕事部屋として活用したい!
「和室を使っていなくてもったいないのでフローリングに張り替えていいですか?費用は自分で持つのでお願いします!」と正直に大家さんに相談したところ、幸いにも改修許可をいただきました。
よっしゃ、やるなら今しかない!と休日を利用してフローリングの貼り替えに挑戦しました。
和室畳の無垢フローリングDIY 概要
概要は以下です。
無垢フローリングの貼り替えと聞くと、大工の知識や専門的な工具が必要に感じますがそんなことはありません。
ホームセンターで手に入るインパクトドライバーと丸のこ(のこぎりでも可)があれば残りは家にある簡易工具で貼り替えることができます。
和室畳の無垢フローリングDIYに必要な工具や消耗品
・広さ 6畳 およそ11㎡
・部屋 和室(プレハブ住宅の2階)
・人数 2名(ハダと父)
・材料 杉フローリング(30mm厚、節あり)、フローリング端材(12mm厚、長さ500mm程度)
・工具 丸のこ、インパクトドライバー、とんかち、カンナ、釘抜き、定規
・消耗 木工用ビス、ボンド
・仕上 蜜ロウワックス塗装
フローリングを下地に打ち付ける場合は電動タッカーを使う場合が多いのですが、決して安くない専門工具なのでインパクトドライバー+木工用ビスで代用します。
12mmや15mmの薄いフローリングの場合、木工用ビスを打ち付けることでフローリングが割れてしまうこともあるのですが、30mmと分厚いフローリングを用いることで素人でも簡易な工具で施工しやすい工夫をしています。
和室畳の無垢フローリングDIYの工程
工程は大きく分けて以下の5つです。
- 部屋の間取り計測
- 材料の拾い出し、カット
- 畳剥がし、下地施工
- フローリング施工
- 仕上げ塗装
部屋の間取り計測は作業前にできるので事前に計測し、必要な材料の数量を拾い出しておくとスムーズです。
実際に和室畳を無垢フローリングにDIYしてみた
以下、手順に沿って説明していきます。
1. 部屋の間取り計測
改修する部屋は一般的な6畳間、およそ11平米弱。
メジャーを使って部屋の幅や奥行きを測ります。
1辺の長さを測るにしても、何度か複数箇所を測ることで、場所ごとの小さなズレを確認することを忘れずに。
なんといっても古い家はそもそも真っ直ぐじゃないことがほとんどです。我が家もきちんと測ってみると最大5mmほど部屋のズレがありました。
認識しないままにフローリングを貼り替えてしまうと余計な手間がかかってしまうので要注意です。
2. 材料の拾い出し、カット
今回フローリングとして施工したのはフローリング すぎ・3cm厚・節ありです。
30mm厚のフローリングの良い点は、厚みがあり踏み心地がよく反りにも強い点や、断熱材無しでも木の厚みで断熱効果が期待できる点です。
特に杉は空気層を多く含む樹種なので柔らかい反面踏み心地が良く断熱性が高い良コスパ素材なんですよ。
分厚いフローリングを用いることで敷居との段差を発生させにくいことも利点です。
一般的な畳は厚みが50〜55mm程度あると言われています。
厚み約55mmの畳を撤去してフローリングを張っていくので、下地とフローリングの厚みの合計が55mm未満だと段差が発生してしまうのです。
30mmを選ぶデメリットとしては、厚みがある分一枚一枚が重く取り回しがしにくい・のこぎりだけではカットが難しい点。
さらに厚みのある分、費用が高くなりがちな点です。
フローリングと合わせて必要となる下地材はコスト削減のためにリサイクルしています。
西粟倉・森の学校のオリジナル製品ユカハリ・タイル(すぎ・12mm厚)の製造途中で発生する端材をっ利用しています。
下地なので見た目も関係ありませんし、フローリングを固定すれば良いので深いこだわりがありません。
ホームセンターで胴縁材と呼ばれる格安の材料を購入するのも良いですよ。
30mm厚のフローリングと12mm厚のタイルパーツを2枚重ねると、厚みの合計が計54mmになりました。
30mmのフローリングの下に板を2枚重ねることで、一般的な畳の厚み(1寸8分=5.45cm)とだいたい同じになりました。
これで畳からフローリングに張り替えた際の厚みのズレはほぼ解消できる!という算段です。
フローリングの事前カット
床材として30mm厚のフローリングを用意しましたが、どのように並べていくか計画を立てていきます。
部屋の奥行きが3825mm。用意したフローリングの長さが1,920mmなので、縦に2枚並べればで部屋を横断できる!ということで長さを1,912mmにカット、2枚つなげて3824mmに。
そして互い違いに床板を貼る千鳥貼りにするため、短い956mmにカットした板も用意しました。
長さの異なる2種類のフローリングを組み合わせて交互に貼っていきます。
カンナや紙やすりで断面を仕上げる
丸ノコでフローリングをカットすると断面が毛羽立ってしまうのでカンナや紙やすりで表面を磨くときれいになります。
3. 畳剥がし、下地施工
材料の準備が終わったところで、下地の施工に取り掛かっていきます。
まずは部屋の畳を剥がしてみることに。
畳の下がどうなっているかドキドキしながら剥がすと出てきたのはベニヤ板。
表面も劣化しておらず、非常にきれいな状態でした。
何箇所か釘が頭を出していて施工時に危険だったので、とんかちで叩いて頭を隠しておきます。
施工前に畳を剥がして下地確認
もし畳を剥がした下のベニヤ板が腐っていた場合は、ベニヤ板も剥がして新しい板を張る必要が出てきます。また、畳の下の構造は住宅によって違うので、計画を立てる前にまず畳を持ち上げて、状態を確認してもらうのが良いかもしれません。
下地の状態も確認したところで、いよいよ作業を開始していきます。
下地用に用意した板を部屋の端から並べ、長さが余る壁際の部分を丸ノコを使ってカット。
下地材なのであまり神経質にならず、大まかにカットしていきました。
フローリングがたわまないようによりピッチを細かく下地を施工することが多いのですが、今回施工するのは30mmと分厚いフローリングなので下地のピッチを空けても問題ありません。
部屋の奥行き方向にフローリングを貼るため、下地は直交するように施工していきます。
地面=ベニヤ板との固定はインパクトドライバーを使ってビスをバシバシと打っていきました。
事前にカットしておいたフローリング材の長さに合うように注意して、調整しながら施工していきます。
これで準備は万端。次はいよいよ下地材の上からフローリングを施工します。
4. 無垢フローリングの施工
まずは、引戸のある入口付近からフローリングを貼ります。
雌実方向(凹型)を敷居側に向け、端部分はビスで固定できないので下地材を増やし、木工用ボンドを使って固定します。
※雌実(めすざね)
縁甲板や各種フローリングの継ぎ目の一方が凹で、相手側が凸に加工されています。雄実(凸型)と雌実(凹型)が接合することで1枚1枚のフローリングが面となって固定されます。
フローリングをはめ込み、とんかちでトントンカンカン。
直接とんかちを当ててしまうとフローリングが凹んでしまうので、あて木をあてるのをお忘れなく。カット作業の時に出た端材で十分です。
実(さね)同士がはまるように1枚1枚確認しながら貼っていきます。
そして、フローリング両端部の木口面をカンナや紙やすりでささっと削ります。
丸ノコで切りっぱなしの断面を長手方向に繋げるとささくれができてしまいます。
フローリングの短手方向(実が付いた断面)の接続部と違和感が内容に1mmほど角を落とします。
木工用ビス(釘)は少し長めの65mmを使用しました。
フローリングの厚みが分厚いことや下地材の厚みが24mmあることを考慮し、斜め下方向にビスを止めても下地下のベニヤ板まで届くような長さのものを購入しました。
フローリングに使用した杉は白身と赤身(もしくは黒っぽいものも)と、色味のバラつきがあります。
今回は白身の列、赤身の列と分けながら貼っていきました。
入口付近はよく通る場所なので木目がきれいなものや節が少なめのものを選んだのは材木屋としてのちょっとしたこだわりです。
白身と赤身の違いは神経質になる必要はありません。木材は紫外線が当たると経年変化で色味が落ち着きトーンの揃った飴色になっていきます。
住み始めたら気にならない、DIYならでは諦めの美学
だいぶ貼り進んできたところで写真のようにすき間が気になる箇所も出てきました。
部屋が若干斜めになっているのでまっすぐに施工しているつもりでも貼り進める度にズレが生じてしまうんですね。
大工さんであればきれいに収めてしまうのだろうけど、ここはDIY初心者のご愛嬌ということで神経質になるのはやめておきます(というか諦めました)。
フローリング施工時は実の隙間を1mm空けましょう
短手方向の雄実と雌実の隙間は1mmほど空けておくのがおすすめです。
木材は空気中の水分を吸収放出し膨張収縮する性質を持っています。湿度の高い梅雨〜夏は膨らみ、湿度の低い冬は縮みやすいです。
おおよそ1mmほど実の間に隙間を空けて施工するのが良いです。名刺などの厚紙を1枚挟んで施工するとズレが生じにくいですよ。
隙間が無いほど詰めてしまうと施工後にフローリングが浮き上がる原因になるのでお気をつけください。
壁際も長手方向にも2〜3ミリ程度のズレが出てしまいました。
きちんと角度を揃えてカットすればもっと目立たなくなるのでしょうが、DIYなのでこのくらいはしょうがないものとして進めていきます(また諦めました)。
巾木(後述)を被せて床と壁の境目を覆う方法が一般的なのですが、すでに巾木が施工されているのでこのままにしておきます。
部屋端のフローリングの収め方はさねカットが重要
端に入れるフローリングは壁との距離を測った上で、幅と雌実の一部をカットしたものを用意しました。
これを最後にパコーンとはめてしまえばお終いです。
フローリングの張り始めと同じようにビスで止めることができないので、ここもボンドを使って下地材に直接張り付けていきます。
が、しかし!しっかり収まる予定が5mm以上の溝ができてしまいました。
算段が甘かった…! 暮らしてみて気になるようならば、巾木をつくって上から覆い隠そうと思います。
※巾木
床と壁の継ぎ目にあたる壁の最下部に取り付ける横木のこと。傷みやすい部分を保護するために設ける見切り材でもある。
これでフローリングの施工は終了です。
5. 蜜ロウワックスで仕上げ
さあ、最後の大切な仕上げです。
仕上げはハダのお気に入りの自然塗料である小川耕太郎∞百合子社の未晒し蜜ロウワックスを塗装しました。
蜜ロウとエゴマ油、2種類の原料からできた安心安全な自然由来の塗料です。
塗装すればほんのり濡れ色になってツヤが増し、撥水効果も期待でき、経年美化の味わいも楽しむことができます。
木のひび割れの原因にもなる乾燥を防ぐ効果もありますよ。
スプーンですくってスポンジに乗せ、うすーくうすーく塗り拡げていきます。
最後は雑巾で乾拭きしてあっという間に完成です。
和室畳を無垢フローリングにDIY 完成ビフォー・アフター
最後にビフォー・アフターの写真を紹介します。
ビフォー
決して畳が汚いわけではありませんが、洋風の印象が強いテーブルやラックとの相性が悪く、いつか無垢フローリングにしたいと思っていました。
アフター
殺風景な6畳間の和室でしたが、杉の無垢フローリングに張り替えたことで明るい印象になりました。
テーブルやラックを置いてハダのワークスペースにする予定です。
和室畳の無垢フローリングDIY まとめ
DIY初心者なりに手探り状態でフローリングを張っていきましたが、父の助けもあって想像以上にしっかりとした仕上がりになりました。父よ、ありがとう。
仕上げの甘さなど反省点は多々ありますが、まずは気になっていた和室を無垢フローリングに貼り替えることができて大満足です。
父と休日を使ってわずか6時間で完成し、夜には無垢フローリングの上であぐらをかきながら一緒にビールを飲みました。
30mmの杉の無垢フローリングは温かみはもちろんしっかりした踏み心地の良さがお気に入りです。
暮らし続けて使い込んでいくうちに経年美化して味わいも出てきましたよ。
参考)本格的な断熱施工やマンション和室畳の場合
最後に古民家の本格的な断熱施工やマンション和室畳を簡単DIYで仕上げる方法もご紹介します。
古民家を断熱施工したい人向けのDIY動画
最後により本格的に和室畳を向くフローリングに施工したい人向けの動画を紹介します。
西粟倉村を拠点に空き家や古民家を舞台にしたDIYを展開するユーチューバー・JP-channelです。
JP-channelの中の人であるJP(ジェーピー)さんは元美容室オーナーから転身し世界一周の旅の後、西粟倉村を拠点にユーチューバーとして活動しています。ハダの飲み仲間でもあります。
築40年の平屋の和室6畳間を無垢フローリングに張り替えています。
ハダが使用した30mm厚のフローリングよりも一般的な15mm厚のフローリングを使用した施工しています。
古民家ゆえの気密断熱性の低さを解消するために防水シートや断熱材を使用しているので本格的に和室畳を無垢フローリングに施工したい人におすすめの動画ですよ。
ユカハリ・タイルを使ったマンション和室畳DIY
「使っていない和室を無垢フローリングに張り替えたいけど工具も無いし本格的な施工は自信がない」という人には西粟倉・森の学校のオリジナル製品ユカハリ・タイルを使ったDIYがおすすめです。
マンションの和室畳を剥がして合板で厚み調整し、上からユカハリ・タイルを敷き詰めるだけの簡単DIYです。
スタイロフォームや合板はホームセンターで用意に手に入れることができ、ユカハリ・タイルは指定寸法にカットするオーダーカットも受け付けていますのでお気軽にお尋ねくださいね。
西粟倉・森の学校の製品は『ふるさと納税』でも取扱っています。