丸太の構造を知ると杉の使い方が分かる 赤身(芯材)と白身(辺材)の違いを解説

丸太の構造を理解すると木のどの部位をどう使うと良いか分かるようになります。

今回は杉の丸太と部位ごとの使い方について解説します。

杉の丸太には赤身(芯材)と白身(辺材)がある

杉フローリングの原材料となる杉丸太は中心部と周辺部で色味が異なっています。

  • 中心部(芯材) … 赤身(時には黒い)
  • 周辺部(辺材) … 白身(白太とも言う)

赤身と白身の割合は丸太の大きさや生育環境で異なりますが、おおよそ芯材は60〜70%辺材は30〜40%といったところでしょうか。
全体の割合から見ると、白身の方が製材時に取れる量も少なくなります。

丸太の断面を見て品質の目利きをする

私たち西粟倉・森の学校では西粟倉村で伐り出された丸太を中心に、周辺地域からも丸太を仕入れています。

岡山県北部(津山市や新見市)、鳥取県東部(智頭町や鳥取市内)、兵庫県北西部(佐用町や宍粟市)の木材市場や山林から丸太を仕入れています。

原木市場や土場を毎週訪問し、丸太の断面を見ながら以下のような点を意識して目利きをしています。

  • 年輪の目が詰まっているか … 木目の細かい美しい製品が作りたい
  • 枝打ちが丁寧にされているか … 節が少なくきれいな製品が作りたい
  • 赤身の色合いは良いか … 一般的に赤身が黒いもの(黒芯)だと価値が付きにくい
  • シミや腐れはないか … シミや腐れのある部分は製品にできない
  • 反りや曲がりはないか … 反りや曲がりが大きいと製品の歩留まりが落ちる
  • 品質に見合う価格かどうか … 産地や季節によって値段は変動する

丸太の断面を見れば、木の生育環境や枝打ち頻度など総合的に品質を判断することができます。

良い商品づくりは良い素材の仕入れから、を合言葉に鼻息を荒くして足を運んでいます。

原木市場はまるで魚市場さながらの熱量があります。

「1万3,000円でどうだ!これ以上はゼッタイに下げんでっ!」
「え〜、これが7,000円?!誰か買ってよ!おねがい〜っ」
「このヒノキは天然の良い曲がりだよっ!(そもそも天然以外の曲がりなんてないのに)」

威勢のよい掛け声とともに次々と原木が売られていく様子は迫力満点です。

競り人によってテンポも売り方も違うので見ているだけでも楽しいですよ。

「競りっちゅうモンは場の空気を読んでタイミング良く買うのがコツなんやっ!」

と弊社の仕入れ担当、ニシオカ(関西人)もハイエナのような目をギラつかせながら競りに参加しています。

山主さんたちが世代を越えて育ててくださった木のバトンですので、1本1本の丸太と向き合いながら、良い製品に仕立て、丁寧にお客さまの元にお届けしています。

水やカビに強い赤身、年輪が緻密で節が少なく美しい白身

仕入れた丸太をフローリング場の板に加工すると丸太の製材部位によって色味や見た目が異なります。

赤身は成長した白身部分が中心で活動を終え死んでいる状態です。

白身は根から吸い上げた水を葉まで送りますが、赤身は活動を終えているので水分を吸収せず、水分の通り道も閉鎖されています。

そのため、一度乾燥させると水分を吸湿しにくくなり、水に強くなります。

また、白身から赤身に成長する際にフィトンチッドという成分を樹木が貯え、虫や細菌から身を守っており、カビに強い特徴もあります。
そのため、赤身は外壁やキッチン等の水廻りに使うことが多いです。

対して、白身は年輪が緻密です。

赤身に比べると板にした時に強度が強く、空気中の水分を調整する調湿機能に優れています。

よく過ごすお部屋の床や天井、壁などに使うと室内の水分調整をより行ない、1年を通して快適な室内環境を保ってくれます。

杉の部位別の施工場所をまとめると以下です。

  • 赤身(芯材) … 水やカビに強い(外壁やキッチン等水廻りにおすすめ)
  • 白身(辺材) … 年輪が緻密で節が少なく、調湿機能に優れる(寝室の床や壁におすすめ)

製品になったフローリングを購入するだけでは分かりにくいですが、木の構造を知るとどの部位をどう使うのが良いか理解できて面白いですね。

杉のフローリングも赤身と白身の2種類がある

丸太が芯材と辺材で色味が違うように、フローリングにも大きく分けて赤身と白身の2種類があります。

西粟倉・森の学校の製品では、節ありの製品に赤身が多く、節なしの製品に白身が多くなります。

節(=枝の跡)は、生育時に枝打ちがきちんとされていれば周辺部にいくほど少なくなるためです。

  • 節あり … 赤身が多く、節の量も多くなりがち
  • 節なし … 節がなく、白身が多い

赤身と白身の色味のバラつきは経年変化(具体的には紫外線)によって落ち着いてきます。

施工時の色味のバラつきがどうしても気になる方は、オスモリボスといった浸透系塗料の色付き(白や茶色)や未晒し蜜ロウワックス(小川耕太郎∞百合子社)を薄く塗るのがおすすめです。

白身で揃えた節の少ない杉フローリングでリビングを明るく設える

大工さんによっては、まとまった量の杉フローリングを施工する場合に、キッチンや洗面等の水廻りには赤身、寝室やリビングには白身と使い分ける場合もあります。

こちらの写真は杉の白身(辺材)をリビングに設えた様子です。

白身を中心に選択しているので、節が少なく年輪は緻密で色味のトーンも揃っていて美しいですね。

構造材や横架材には、千葉県産の天然乾燥杉を使用しています。天然乾燥だけあり、赤身が美しいです。

目に見える部位にふんだんに木材が設えてあるので、非常にやわらかい印象を受けます。

壁や天井の天然珪藻土との相性も良く、木と白を基調として色数を減らしており、部屋全体がとても明るく感じられますね。

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