テスト栽培中のいちご4品種は紅ほっぺ・章姫・さちのか・よつぼし

西粟倉・森の学校では2020年9月からいちごのテスト栽培に取り組み始めました。

村内のビニルハウス1棟(120平米)をお借りし、栽培ベッドや潅水設備を自作、樹皮+おが粉のオリジナル培土での生育調査や品質向上に向けて試行錯誤中しています。

生産量も少なく(1〜6月の半年間で500kg程度を生産予定)、まだ一般のお客さま向けには販売できていませんが、お客さまに完熟いちごを食べていただける機会を楽しみにしています。

今回はテスト栽培中のいちご品種の4種類を紹介します。

紅ほっぺ|バランス感が秀逸ないちご狩り体験人気No.1品種

甘みだけでなく酸味とのバランスが良く、ほっぺが落ちるくらいコクがあり美味しいことから名付けられた品種です。

果実が大きく、連続出蕾(しゅつらい)性(つまり果房が良く出る)に富んでおり収量性が高い品種です。大きな果実は、50g(一般的なものは20g前後のため倍以上)の大きさとなります。

お母さんは章姫、お父さんはさちのかです。

栽培技術的には、電照が無くても栽培できるため初心者でも栽培しやすい品種です。

また、細根の発生量が多く、吸肥力が強いこともあり、肥料切れによる芽無し株や、チップバーンが発生しやすい品種でもあるため、肥培管理が重要となります。

紅ほっぺはこぶしサイズぐらいの大きさにもなるため、芽の数を増やして果実の肥大をコントロールすることができますが、逆に言えば、摘果や芽かきによって大果でつくることも可能になります。

特大サイズのいちごづくりにもチャレンジする予定です。

章姫|美しい円錐形とやわらかく甘い味わいがウリ

萩原章弘によって育成されたいちごのため、章姫(あきひめ)と名付けられた品種です。

大果で縦長の円錐形のいちごでシュッとした形が特徴的ですね。

酸味が穏やかなため、酸味が苦手な人にも食べやすいいちごです。果皮が柔らかく、傷みやすいため、長距離輸送に向かない品種です。そのため地場産品での取り扱いが多い傾向にあります。早生(わせ)性の品種で、年内収量が多いのが特徴です。

栽培技術としては、章姫もまた電照が無くても栽培が可能な品種です。果皮が柔らかいため、作終盤の品質維持するための管理が難しい品種とも言われています。

終盤まで美味しく作るためには終盤の温度管理が重要になってきますが、遮熱材や遮光資材を使いながら工夫をしていきたいと考えています。

さちのか|いちご玄人から人気のこだわり品種

果実サイズは小ぶりですが、果実がかたく保存性に向いた品種です。

さちのかは収量性は高くはありませんが、ビタミンCの含量がほかのいちごに比べて多く、ジューシーな味がします。栄養面に長けた品種です。

さちのかは、休眠性が高い品種です。休眠とは、低温、短日で入りペタッと株が寝てしまう反応のことです。休眠させずに、栽培するために電照の使い方が重要になってくる品種ですね。

今季は電照無しで試験的に少量作っていたこともあり、11月ごろから「おやすみ~( ˘ω˘)スヤァ」と気持ちよさそうに寝て(休眠に入って)しまったので、次回生産するときは、適度に春を感じさせるように寝ぼけた状態(半休眠状態)をつくりながら、生育させる予定です。

よつぼし|小粒で濃厚な甘み 珍しい種子繁殖型

甘味/酸味/風味/美味の4つがそろっているため、よつぼしと名付けられました。

高糖度で風味がある濃厚な食味が特徴です。森の学校のママスタッフで一番人気の品種です。

紅ほっぺ、章姫と比較して、果実肥大が少ないため、大きな果実をつくれるような方法を模索しています。

本来、いちごの苗はランナーからとるのが一般的ですが、このよつぼしは日本に数少ない種子繁殖型のいちごです。種から作られるため病害虫リスクが少なく、ランナーを受ける手間が省け、生育的なばらつきが少ない品種となっています。

今後、栽培省力化、病害虫管理の観点からこういった種子繁殖型のいちご品種が増えてくると予想されます。

よつぼしは小さな果実になりやすく芽の管理や摘果を工夫し大粒のいちごを栽培できるように工夫する予定です。

また、最初はとっても小さなプラグ苗で植えたため、大丈夫かな?と心配になりましたが、活着(根が張ること)してからは、「おらおら!成長するぜ~!」とベンチャー企業のごとく、生育してくれました。

しかし、これは栄養成長(つまり自分の身体ばかり作る状態)によっており、花芽の分化が遅れてしまいました。自社の成長をするだけでなく、ちゃんと株主(果実)に還元してもらわないと、困りますよね。

完熟いちごを食べ比べする楽しさを知ってほしい

西粟倉・森の学校のいちご摘み体験が本格的に始まるのは2022年1月を予定しています。2021年の春から1,000平米のハウス建設を開始、2021年秋からいちご苗の定植を予定しています。

現在は本格的な栽培に向けたテスト栽培期間ですが、すでに村内の飲食店とも取引を始めていたりと少しずつ準備を進めています。

自ら完熟いちごを摘み、口に入れ味わう楽しさをお客さまに届けられる日を楽しみにしています。楽しみに待っていてくださいね。

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