製品

材料は蜜蝋とエゴマ油のみ 材木屋と養蜂家が開発した安心安全な未晒し蜜ロウワックス

「無垢フローリングを塗装したいんですけど、おすすめの塗料はありますか?」

私たち西粟倉・森の学校が無垢フローリングなど内装材を製造販売する中で最もよくいただく質問の1つです。

木材用の塗料と一口に言っても、オイルステインワックスペンキニスウレタン…さまざまなものがあります。無垢材の風合いを生かしたまま保護するのか、耐久性を高めるのか、着色するのか等、用途によって使い分けられます。どんな塗料をを選んだらよいか分からないと悩まれるお客さまもたくさんいらっしゃいます。

  • 小さなお子さんやペットがいる家庭でも安心して使える
  • DIYで自分で塗りやすい=コストダウンしやすい
  • 無垢フローリングの風合いは残しながら汚れにくくする
  • 塗装後も自分でメンテナンスしやすい

西粟倉・森の学校の製品を購入してくださるお客さまの多くはこれらの要望を叶えたいと考えています。その条件を満たすものとして私たちがおすすめしているのが小川耕太郎∞百合子社未晒し蜜ロウワックスです。

未晒し蜜ロウワックスの開発者である小川耕太郎さんにお会いし、その魅力を伺いました。

材木屋を廃業し全てを懸けて売り歩いた未晒し蜜ロウワックス

小川 耕太郎|有限会社 小川耕太郎∞百合子社
1961年生まれ三重県尾鷲市出身。早稲田大学を卒業後、旭化成ホームズを経て、家業の小川材木店に入社。1998年に小川耕太郎∞百合子社を創業、未晒し蜜ロウワックスを開発。1人娘の生まれ年ワイン収集が趣味。

会社名が非常に印象的な小川耕太郎∞百合子社(以下:小川社)は三重県尾鷲市賀田町というわずか人口600人の海沿いの小さな集落にあります。賀田町出身で家業が材木屋の小川耕太郎さんがパートナーの百合子さんと1998年に創業した会社です。

生産者の名前が記されたスーパーマーケットに並ぶ産直野菜からヒントを得て「格好をつけずに家内内手工業の規模が分かる社名にしたかった」と選んだのが小川耕太郎∞百合子社という社名でした。「∞」マークは未晒し蜜ロウワックスと深い関わりを持つミツバチの8の字ダンスや持続可能な循環事業をイメージしています。

「開発した当時はこんなの塗料じゃねえと工務店や大工からよく怒られたよ。だけどぼくは蜜ロウワックスがこれからの時代に必要とされるんだと信じてやまなかった」

およそ20年前に塗料に含まれる有害揮発性物質によるシックハウス症候群が大きな社会問題になりました。目には見えない揮発性物質がその原因です。

材木屋の耕太郎さんは、本当に安心できる原材料を使いながら無垢材の良さを引き立てる塗料を作りたいと未晒し蜜ロウワックスを開発したのでした。

家業の材木屋を廃業し小川社を創業した当初は夫婦で1ヶ月5万円+半自給生活をしていたそうです。背水の陣。蜜ロウワックスに全てを懸けていました。

耕太郎さんが未晒し蜜ロウワックスを缶に充填し、自宅のコピー機で印刷した紙ラベルを貼り付けただけの簡素なパッケージでした。バックパックに未晒し蜜ロウワックスを詰め込み、全国を行脚しながらまだ誰も見たことのない商品を売り歩いたのでした。

今や蜜ロウワックスと言えば小川社と認識されるパイオニア企業ですが、未晒し蜜ロウワックスを開発した当初は建築業界に受け入れてもらえませんでした。

身の回りにあるものから安心安全な自然塗料をつくる

ホームセンター等で手に入る自然系塗料には乾燥剤石油溶剤が使用されていることがあります。「自然塗料と謳っているものの本当に自然だと言えるのだろうか?お客さんが心から安心できるのだろうか?」耕太郎さんは疑問に思いました。

「本当に安心して使える自然塗料を作ろうと思った時、身の回りを探してみたら蜜蝋とエゴマ油があったんだ。プロダクトアウトでもいいからミニマムな自然原料で納得できる塗料を作り上げたかった」

知り合いの養蜂家で余っていた蜜蝋と祖父が商いとして製造していた番傘に塗られるエゴマ油の2つで塗料が作れるのではないかと考えたことがきっかけで未晒し蜜ロウワックスは生まれました。

「養蜂家の中村さんに試作をお願いし蜜ロウワックスが塗られた木材を見た時には、これだ!と頭に電気が走ったんだ」と耕太郎さんは目を輝かせながら語ります。

未晒し蜜蝋ワックスの蜜蝋エゴマ油のわずか2種類の自然原料から作られています。もちろん、有機溶剤や乾燥剤は一切使用していません。

蜜蝋 ミツバチのムダ巣から手作業で不純物を取り除いた未晒しの蜜蝋
エゴマ油 契約農園で栽培し国内工場で精製した一番搾りのみのエゴマ油

蜜蝋はミツバチが巣をつくる材料として働き蜂の腹部にある分泌腺から分泌するロウのことです。当初は透明ですが巣が使用されるにつれ、ミツバチが持ち運んだ花粉の色素の影響を受けて黄色くなります。蜜ロウは木材の艶出しをはじめ、化粧品、ロウソク、食品にも使われています。

エゴマはシソ科の一年草。日本で古くから栽培されているシソの仲間です。エゴマ油はその種子から搾られた油です。

現代人の食生活に不足がちなオメガ3脂肪酸(αリノレン酸)が豊富に含まれ、健康的な油として近年注目されています。魚の脂にもオメガ3脂肪酸が含まれているため、エゴマ油は魚に似た香りがします。

記事を書いているハダも家庭菜園でエゴマを育てたことがありますが、シソのように簡単に育ちますし、お肉に巻いて食べると美味しいんです。韓国料理に利用されるイメージが強いですが、奈良時代から全国で栽培されていたそう。種から採れるエゴマ油は灯油として流通しており日本人の生活に欠かせないものでした。

塗料なのに食品として使われる蜜蝋とエゴマ油から作られている未晒し蜜ロウワックス。どうして蜜ロウワックスが木材の保護に役立つのかメカニズムを聞きました。

蜜蝋が塗膜をつくりエゴマ油が浸透 木材を保護し味わいを出す

「蜜ロウワックスは木本来の機能を生かしながら経年変化を美しくする塗料なんだ」

未晒し蜜ロウワックスは無垢フローリングに馴染みながら表面に塗膜をつくります。その塗膜は木の呼吸を妨げることなく水分を弾き湿気を通します木材のもつ温かみや感触が変わることはありません

やわらかな蜜蝋で膜をつくるため無垢ならではの働きをそのまま生かしつつ、また木の内部にエゴマ油が浸透すること木目が深くなり経年と共に木に表情があらわれます。

無垢フローリングの表面は汚れにくくなり水分を弾きますが、表面の強度が高くなるわけではありません。しかし、私たちはそれでいいと考えています。無垢材の良さは経年美化にあります。経年劣化ではありません。手に入れた時が100点で傷が付いたり汚れたりする度に価値が落ちる減点方式ではなく、住まい手が手をかけることで味わいが増していく加点形式の魅力があると考えています。

木は山で育った年数と同じだけ木材になってからも使えると言われています。私たちが製造する無垢フローリングはおよそ50年生の杉・桧が使われています。人生の多くの時間を過ごす家の中で最も体が触れる部分は床だからこそ、多少の傷や色合いの変化も味わいと捉え、愛着を深めていただければ材木屋として本望です。

自然原料2種類でつくられているので赤ちゃんやペットが口に入れても安心

「蜜ロウワックスは自然由来の原料しか使っていないので手に付いても口に入れても問題ありません。塗料が手に付いたら肌が荒れると思って急いでハンドソープで洗うでしょう?蜜ロウワックスはそんなことしなくていい。ハンドクリームのように塗り伸ばしてくれてもいいんですよ」

未晒し蜜ロウワックスは蜜蝋エゴマ油、わずか2種類の自然材料からつくられています。有機溶剤や乾燥剤は一切使用していません。

蜜蝋はミツバチの巣、エゴマ油は食品として使われています。だから、手に付いても口に入れても問題ありません。赤ちゃんやペットが居る家庭でも安心して使うことができます

お子さまのいる30〜40代のファミリー層のお客さまが西粟倉・森の学校の製品をよく購入してくださいます。塗料というと子どもが塗るには難しいし危ないと思われる方も少なくありません。ですが、未晒し蜜ロウワックスは家族みんなで無垢フローリングを仕上げる塗装を楽しんでいただくこともできます。

犬や猫などペットを飼われているご家庭ではペットが床を舐めることもありますが、未晒し蜜ロウワックスであれば安心です。大型犬を2匹飼っている愛犬家の森の学校スタッフもまた未晒し蜜ロウワックスで床をメンテナンスしています。

スポンジで薄く塗り伸ばして乾拭きするだけ

塗料によっては専用の刷毛やローラーが必要になる木材の塗装ですが、未晒し蜜ロウワックスは、専用の道具は一切必要無くDIY初心者でも簡単に塗ることができます。

未晒し蜜ロウワックスの塗装で必要なもの
・スプーン
・スポンジ(カーワックス用スポンジがおすすめ)
・ウエス(雑巾や古いTシャツで可)

手順は以下の4ステップです。

塗装手順は小川社の上の動画をご参考ください。

未晒し蜜ロウワックスの無垢フローリングの塗装手順
1)未晒し蜜ロウワックスをスプーンで少量すくい、スポンジに取ってよく伸ばす
2)スポンジを抑えつけず、木目方向に沿ってやさしく塗り伸ばす
3)塗り終えたらすぐにウエスで入念に乾拭きする
4)半日〜1日乾燥させる
※うす〜くケチケチと使い、スーッと塗るのがコツ。塗り過ぎると油分が滲み出てしまい靴下や上に置いたものに油が付着します。「本当に塗れているのかな?」と木材が濡れ色になったか分からないくらいで十分です。

室内のお掃除はこれ1本 アルカリイオン水入りのミストdeワックス

未晒し蜜ロウワックスと合わせておすすめしているのがミストdeワックスです。

コンビニのおにぎりにも使われているアルカリイオン水蜜蝋エゴマ油と3種類の原材料からできたお掃除用ワックスです。溶剤・乳化剤・界面活性剤は一切入っておりません。

「無垢材を手軽にメンテナンスできるようにするため蜜ロウワックスを水で溶けるよう乳化させる必要があった。だけど溶剤・乳化剤・界面活性剤は使いたくない。10年以上開発し続けてようやく完成したのがミストdeワックスなんだ」

使い方は簡単。水道水で4〜20倍に希釈し、掃除したい場所にスプレーで吹き付け、雑巾で磨くだけ。

あらゆるものを簡単にお手入れすることが可能です。無垢フローリングはもちろん、合板フローリング、ビニルクロス、クッションフロア、タイル、プラスチック製品等、ミストdeワックス1本で家中を掃除することができます。特に乾拭きや水拭きでは落ちない壁紙や天井の汚れがスッと落ちるだけではなく、防汚撥水補助効果もあります。

250mlサイズ1本を20倍に希釈した場合、自然塗料仕上げの無垢フローリングの床6畳(約11㎡)換算で約100回の使用が可能で、手軽さや効果だけではなく、お財布にもやさしいのが見逃せないポイントです。

編集後記

記事を執筆するハダと小川耕太郎さんの出会いは10年前にさかのぼります。当時、三重大学で林業を専攻していたハダが知り合いの経営者さんから「おもしろい商品をつくっているおじさんがいるよ」と紹介していただいたのが耕太郎さんでした。初対面の印象はパワフルな材木屋のおじさん。

それ以来、耕太郎さんとは年に数回会っては新鮮な尾鷲の魚をアテにお酒を飲む関係です。経営や林業の苦しさ・面白さをさらけ出して教えてくれます。まるで親戚のおじさんのような存在。

知り合って10年経った今、西粟倉・森の学校として小川社の未晒し蜜ロウワックスを仕入れ、販売させていただけることを嬉しく思っています。耕太郎さんがこだわり抜いて開発した未晒し蜜ロウワックスを材木屋の私たちは自信をもっておすすめします。

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