製品

趣味や店舗に活用できる100万円台のローコスト木造小屋

西粟倉・森の学校は小屋づくりに取り組みます。趣味店舗事務所など、働き方や暮らし方を拡張するローコスト100万円台木造小屋を開発・展開します。

ローコスト100万円台で完成する3坪以下の木造小屋

西粟倉・森の学校は周辺地域から伐り出される国産材(すぎ・ひのき)を用いて木材加工に取り組む材木屋です。DIY用木材1枚から公共建築物の木材供給まで少量多品種のモノづくりに取り組んでいます。

いわば住宅用資材を供給する木材メーカーですが、一歩踏み込んで空間=ハコづくりまでお客さまに提案したいと小屋事業を開始しました。

西粟倉・森の学校が開発する小屋は以下5つの特徴を持っています。

■小屋づくりの5つのポイント
・建築基準法上の建築物に該当しない3坪(6畳=10平米)以下の小屋
・運送費や施工費込みで税込100万円台のローコストを実現
・着工〜完成まで1週間以内と短期間多棟供給を可能にする
・水回りや電気工事は施さずDIYで拡張できるミニマムな仕様
趣味小屋プライベートトレーニングジム事務所など多様な用途に対応

狭小住宅や小屋の販売に取り組む業者は少なくありませんが、材木屋の私たちだからこそ提案できる無垢の心地よさや温かみを生かした小屋を展開していきます。

実際に小屋のプロトタイプを建ててみた

まずは村内の集客施設に近接するかたちでプロトタイプを設計・施工しました。

土地造成、基礎丸太/土台設置

まずは建設地の土地造成です。建設予定地の地面を慣らしバラス(砕石)を敷いてレベルを揃えました。

整えた土地に太鼓挽きした杉丸太を置きます。これが小屋を支える基礎となります。住宅の基礎工事として施工されることの多いベタ基礎布基礎はコスト高になってしまうので、材木屋らしいコストダウン方法を実践しています。

建築基準法上、10平米以上の建物は建築物に該当し、ベタ基礎や布基礎の施工が必要になりますが、10平米以下の場合は指定がありません。そのため、小屋のサイズを10平米=3坪(6畳)以下に設定しています。

基礎代わりの丸太の上に土台を取り付け固定します。土台が基礎と建物の骨組みをつなぎ構造を支えます。コンクリート基礎と違い1本1本の大きさが異なる丸太なので寸法確認を繰り返しながら仕上げていきます。

棟上げ・屋根・断熱材施工

土台を回し終えたら構造材(柱)や横架材(梁や桁)を組んでいきます。屋根を貼り終えると途端に建物らしくなるから面白いものですね。今回の試作1号は広々ウッドデッキが特徴です。ウッドデッキに合わせて軒下も伸ばした仕様にしています。

屋根の下地として合板を貼ればあっという間に建物らしくなりました。棟上げ開始からわずか数時間でここまで施工が進むので大工さんには頭が上がりません。

西粟倉村は中山間地積雪地帯。真冬には1日で50cm以上積もる日もあります。寒い古民家に住んだ場合、朝起きがけに室内温度が氷点下という日も少なくありません。今回は断熱性を高め小屋での生活を快適にするために床下天井断熱材(ミラフォーム)を施工しています。

副資材として使用する合板はFSC®認証材を使用しています。見えない材料にも素材調達の透明性を実現したい私たちのこだわりです。建築物に大量に使われることの多い合板の調達透明性は見えにくいこともあり、FSC®認証合板は公共工事などで引き合いを多くいただいています。

屋根仕上げ・外壁張り・外壁塗装

防水シートを張り、屋根に鋼板、外壁に木材を施工すればすっかり小屋らしくなりました。

今回は景観や採光性を意識しながらもドアや窓はミニマムな仕様にすることでコストダウンを図りながらも小屋内の断熱性を高くできるように工夫しています。

外壁の仕上げは未晒し蜜ロウワックスでお馴染み小川耕太郎∞百合子社の木材防護保持材・ウッドロングエコを採用しています。鉱物やハーブ、樹皮などを原料にした粉を水に溶いて塗装します。

ウッドロングエコは塗膜性塗料のようにはがれることがなく、施工後の再塗装は不要です。天然物だけでできた無害な木材防護保持剤という性質上、効果の持続期間は土地の気候や環境、施工条件、樹種及び樹齢などに左右されますが、海外での実績は長く、塗ってから60年以上効果が持続した例もあります。

無塗装品と比較すると2.2倍長持ちするウッドロングエコは、ザ・耐候性塗料のようなコッテリとした質感ではなく、無垢材が経年変化したような味わい深さが特徴で私たちのお気に入りの木材防護保持剤です。

内装・造作材仕上げ

外壁塗装と並行して内装工事も進めます。今回のプロトタイプは趣味小屋としてはもちろんワーケーションなど短期滞在の拠点としても活用予定なので断熱材や内装・造作材はしっかりと整えています。

断熱材(グラスウール)を埋め込み、下地として合板を施工、仕上げに内装材や漆喰を設えます。

国産材の中心であるすぎ・ひのきは柔らかく傷がつきやすい欠点もありますが、柔らかい=空気層を多く含むため表面が冷えにくい特徴があります。

小屋としてのあっけらかんとした空間では短期滞在者が生活しにくいため、収納家具等も施工しています。

趣味小屋としてはもちろんワーケーションなどの短期滞在も検討

まだ始まったばかりの小屋プロジェクトですが、ローコスト100万円台・短期間施工・DIYによる拡張性が面白いと少しずつ引き合いのお声もいただくようになりました。プロトタイプを改善しながらさまざまなデザインも開発し、事業展開の予定です。

「こんな小屋、作れる?」「あんな用途で使いたいんだけど?」私たちの実装実験に付き合っていただける仲間やお客さまも常に募集しておりますので気軽にお声がけください。西粟倉村にお越しいただければプロトタイプも内覧可能です。

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