高知大学のインターン生が西粟倉・森の学校の新規事業を立ち上げ

2020年3〜4月に西粟倉・森の学校に高知大学で林業を学ぶ学生がインターン生として加わってくれました。

西粟倉・森の学校が前々から立ち上げたいと感じていた「木材工場で発生する端材を販売するお店」の立ち上げに関わってくれました。

モノづくりで発生する端材をお客さんに届けたい

木製製品を製造する過程で必ずと言っていいほど発生する端材。

サイズも樹種も様々なものがあり、製造する製品によって数量もばらばらです。

商品として販売することは難しく、日々発生する端材が私たちの悩みの種でもありました。

端材は規格製品としてお客さまに販売することはできなくても、使い方を選べば全く問題が無い品質のものがたくさんあります。

なにより「自分の目で選び、納得して木材を買いたい」という声をお客さまからたくさんいただいていました。

この課題を解決するべく、端材を編集し実店舗をつくり価値ある商品として販売する新規事業に笹下くんが関わってくれました。

以下、笹下くんがまとめたレポートを紹介します。

笹下祥汰朗の自己紹介

森の学校にインターンシップ中の高知大学 農林海洋科学部 笹下 祥汰朗(ささか しょうたろう)です。

大学では森林科学領域というコースを専攻しているので、森林についてのことを学び、山に入って実際の林業施業を行ったりして木に囲まれた生活を送っています。

今回、森の学校を発見するに至った経緯としては今後の仕事を考えて木に関わることのできるような職場が理想だったのでそんな環境を求めて探していたところ森の学校を見つけました。

森の学校のHPやSNSを詳しく見ていくうちに会社として西粟倉村産の木材と真剣に向き合い、村内産の木材に誇りを持ち働いているのが伝わってきて、現場を見てみたくてインターンシップをお願いしました。

そして、インターンシップ中の課題が「端材ショップを一から作り、運用してみる」というものです。

なぜ端材販売に取り組むのか

西粟倉・森の学校の工場では、様々な形状の多くのスギ・ヒノキの端材が毎日発生しています。

今までこの端材は従業員の方たちが自宅に持ち帰りストーブの薪として利用するか、工場のボイラーの燃料に燃やしてしまうか、のどちらかでした。

しかし、この端材として焼却されている木材は規格が異なり商品として利用できず、またインターネットで売ろうにも一つ一つサイズや見た目が違ったり価格と送料、インターネットに掲載する手間や費用を考えて販売できないというだけで、どれも状態は非常に良く、貴重な西粟倉村産材としてここに価値を生むことはできないだろうかという考えから現地に来ていただいた方への限定販売所を作る試みとして任せていただきました。

コンテナ改修から始まった端材販売事業の立ち上げ

端材マーケットを立ち上げるにあたって、倉庫として利用していたコンテナをお借りしました。

中の物を出して軽く掃除するところから始まり、その後ユカハリタイルの施工を行いました。

初めて行いましたが、きっちり敷き詰めていくだけなので本当に簡単で、更に綺麗に施工することができました。

ユカハリタイルを敷くだけで一気に見違えるコンテナになりました。

その後は、ラックの組み立て、そしてある意味このインターンで最も新鮮だった電気の配線作業をしました。

ここで内装に関しては一通り終わったので、商品探しです。

工場内では思っていたよりも多くの端材があり、更に毎日さまざまなサイズの端材は出てきます。

工場の中を歩き回って集めました。

また、森林組合でたくさんの丸太が余っているという話を聞きつけ、交渉し購入もしました。

商品を集めて価格の設定も任されましたが、サイズもまちまちの端材価格設定は難しく、サイズに応じたか価格表をつくれなかったことは今回の反省の一つです。

2020年3月 HAZAI MARKETオープン

HAZAI MARKETは2020年3月19日にオープンしました。

オープン時に店舗に並んだ商品は、端材よりも過去に森の学校が商品化したもので残っていたものの方が多くてあまり端材マーケット感はありませんでした。

実際売れていたものもそんな商品が多かったです。

それでも、私が主体になって立ち上げた店舗で売り上げが出た時は嬉しいものでした。

私が店頭に立ちお客様に会うことができたのは5日間だけでしたが、その間にも様々な方が来店されました。

中には端材マーケットと同時にユカハリタイルも同時購入してくださった方もいました。

購入してくれた方がSNSでシェアして広がっていくというのもすごく嬉しかったし地域に寄り添う会社の良いところだと感じました。

5日間を通して感じた事はやはりDIY初心者や未経験者の来店が少なかったということです。

門倉所長もおっしゃっていたことですが、森の学校内に工作室のようなものがあれば経験のない方や、工具を持っていない方でも来店して、購入しやすくなると感じました。

笹下祥汰朗のインターン まとめ

今回のインターンシップでたくさんの貴重な経験をすることができました。

最も印象深かったのはやはり、端材マーケットで店番をしていて商品を見ている人が端材を見ながら何を作るかを考えてどんな木材がいるか、真剣に完成図を想像している時でした。

ただの板の状態の端材で何を作ろうか思いを馳せている時のお客様はみんなすごく楽しそうで私ももっとこの人の希望に添える端材を探したいという気持ちになっていました。

今回、3週間という短い期間でしたが毎日木に触れより無垢材の良さを発信していきたいという気持ちになりました。

先ほども述べましたが、やはりどんなに質のいい端材でもそれは端材なので、どんな方でももっと気軽にDIYはできるということを広げていったり、機械を使えるような環境は整えていけばこの端材マーケットの需要というものは高まってくると、実際に私自身もDIYを行って実感しました。

今後の森の学校の「HAZAI MARKET」のアップデートには皆さんで注目してほしいと思います。

インターン生が新規事業を立ち上げ正式に事業化

春休みを利用してインターンに取り組んでくれた笹下くんですが、夏休みにもまた西粟倉・森の学校を訪れ2度目のインターンに取り組んでくれました。

自身が立ち上げたHAZAI MARKETを更にブラッシュアップするべく試行錯誤を繰り返しました。

林業を専攻する笹下くんは自身の卒業論文でもHAZAI MARKETを取り上げる予定です。

今や西粟倉・森の学校にとってHAZAI MARKETは会社にとって重要な事業の1つです。

規格品として流通できなかった端材でも、自分たちが端材を編集しお店を構えお客さまに足を運んでもらうことで商品として売ることができるようになりました。

HAZAI MARKETが立ち上がったことで、今までは捨てるか燃やすかしてしまっていた端材を商品として捉えることができるようになりました。

「この端材はこんな形にカットしたらHAZAI MAERKETで売れるね」と働く私たち自身が端材を見る目が変わったのが最も大きな成果です。

2020年9月には「日曜日のHAZAI MARKET」と称して工場内で1dayイベントも開催しました。

人口わずか1450名の西粟倉村の小さな工場に1日で400人以上のお客さまが足を運んでくれました。

今や私たちにとって重要な事業の1つであるHAZAI MARKETを立ち上げたのは知識もスキルも無いけど林業に関わりたいと志を持っていた1人の大学生です。

彼と一緒に試行錯誤しながら事業を立ち上げられたことを嬉しく思っています。

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